トランプ政権下でアメリカ市場はどう変わる？日本企業が注意すべきポイント

CREAW Inc.はロサンゼルスが本社、ポートランド、ダラス、日本にも拠点を置く、アメリカ市場への進出・アメリカでの販路拡大をデジタルマーケティングでサポートする日系の広告代理店です。

アメリカ時間2025年1月20日、アメリカの首都ワシントンでドナルド・トランプ氏が第47代アメリカ大統領に就任しました。

トランプ政権の政策変更は、アメリカ市場への進出や販路拡大を検討している日本企業様にとって、計画の変更や練り直しが必要な場合もあり、重要なポイント。バイデン政権からの移行で、貿易政策、環境規制、税制など多くの分野で変化が予測されると同時に、既に規制が始まっているものもあります。

本記事ではトランプ新政権下で、これからアメリカ進出を考えている日本企業様が注意すべきポイントや、メリット・デメリットについて詳しく解説します。

政策変更によるアメリカ市場の変化

トランプ新政権下での政策変更によるアメリカ市場で予測される変化について、貿易政策・環境規制・税制の3つの面から解説します。

貿易政策の変化

前回のアメリカ大統領就任の時と同様に、今回もトランプ政権は「アメリカ第一主義」を掲げ、輸入関税の引き上げや保護主義的政策を強化すると予想され、実際に中国に10%、カナダ・メキシコに25%の関税を課す可能性があるとの報道も。

これに漏れず、日本からの輸入品に対する規制強化が日本企業様に影響を与える可能性があります。

これまで日本製品は安さや品質の良さが売りでしたが、関税の引き上げにより、製造コストの上昇や、価格競争力の低下が懸念されます。特に、自動車産業、電子機器、精密機械など、サプライチェーンが複雑な業界においては、影響が顕著になる可能性も。

また、米中対立が激化すれば、アメリカ国内の消費者の購買動向にも変化が生じる可能性があります。例えば、アメリカ人の中国製品の買い控えや関税強化により中国製品の価格が上がり、代替商品を購入するようになるなどです。

さらに中国で製品を生産し、アメリカに輸出している日本企業様などもコスト増加や納期遅延などの影響が出て来るかもしれません。

そして、アメリカ人利用者の情報がTikTokから中国政府に共有される恐れがあるという理由から2025年1月18日にアメリカ国内でTikTokの利用が不可に。ただし、これはトランプ大統領が施行した法律ではなく、アメリカ連邦最高裁が施行したもので、トランプ大統領は19日、この法律の施行を遅らせ、TikTokの処遇について合意するための猶予を与えると約束し、その直後からアメリカ国内で再度TikTokの利用が可能になりました。

あくまでもこれは例ですが、関税の強化や国間の関係悪化がもたらす影響は少なくないと考えられます。

日本企業様が取るべき対応策

現地生産の強化やアメリカ企業とのパートナーシップの構築

アメリカ現地に製造拠点を設立し、輸入コストの削減や関税の回避が可能。また、アメリカの現地企業と提携、ローカルネットワークを活用し、アメリカ市場参入をスムーズに進められる可能性があります。生産拠点選定は、各州の税制優遇措置やインフラ整備状況の十分な調査が必要です。

関税リスクを回避するための調達先の多様化

中国に依存せず、東南アジアやメキシコなど、関税が低い地域からの調達を増やしてリスクを分散。さらに、米国内のサプライヤーとの関係を強化し、サプライチェーンの短縮による物流コストの削減も検討がおすすめです。

アメリカ国内でのM&Aによる市場参入の迅速化

既存のアメリカ企業の買収は、米国市場へ迅速にアクセスでき、ブランド認知の拡大や販路確保を素早く進めることができます。特に、現地企業のノウハウやネットワークの活用は、規制や商習慣への対応がスムーズになります。

政府の税制優遇措置を活用した投資計画の策定

トランプ政権の税制優遇措置を活用するには、企業はR&D投資や設備投資に注力し、税額控除を最大化する計画を立てることも必要。州ごとのインセンティブ制度を確認し、自社に合う条件を提供する州での事業展開の検討が良いでしょう。

米国の税制や規制の最新情報を継続的に収集

アメリカの税制や規制は頻繁に変更される上、州ごとに異なるため、現地の専門家やコンサルタントと連携し、最新情報の把握が不可欠。特に、輸入関税や労働法の改定が事業に与える影響を定期的に分析し、迅速な対応をする必要があります。

環境規制の見直し

バイデン政権下で進められた環境対策は、トランプ政権では後退すると見込まれます。特にEV（電気自動車）市場への支援が縮小される可能性があり、自動車関連の日本企業様は新たな戦略が必要です。

また再生可能エネルギー政策の停滞は、エネルギーコストの変動や、持続可能性を重視する消費者層へのアピールが難しくなる可能性も。アメリカ消費者のサステイナブル製品への関心減少は、エコフレンドリーな製品の売上が鈍化する恐れもあります。

トランプ政権下で環境規制が後退する可能性がある一方、世界で環境問題が叫ばれている中、アメリカでサステイナブル製品に関心を示す人や消費者が極端に減少するとは考えにくいのが現状。企業の社会的責任（CSR）やESG投資（環境・社会・ガバナンス）に対する米国内の関心は高まっており、規制が緩和されたとしても、消費者や投資家の意識が大きく変わることは少ないと思われます。

日本企業様への影響と対策

環境配慮型製品の提供継続によるブランド価値の維持

環境意識の高い消費者層へのアプローチとして、エコフレンドリーな製品の提供継続が重要。例えば、再生可能エネルギーを活用した製品ラインナップの強化や、サステナブルなパッケージングの採用などです。さらに、環境基準をクリアする認証（LEED、ENERGY STARなど）を取得し、信頼性を高めることがブランド価値の維持に繋がる可能性があります。

州ごとの環境規制に柔軟に対応する戦略の策定

カリフォルニア州など環境規制が厳しい州では、ゼロエミッション基準の適用や廃棄物管理の厳格化が進められています。企業は、各州の法規制を把握し、州ごとに異なる規制に迅速に対応する戦略を立てる必要があります。また、現地の規制に適合したサプライヤーとの連携や、環境対応製品の導入がおすすめです。

持続可能な取り組みを積極的にPRし、企業イメージの向上

サステナビリティに対する企業姿勢の積極的なアピールは、競合との差別化を図ることができます。SNSやWebサイトを活用し、持続可能な取り組み（カーボンオフセットの導入、廃棄物削減プログラムの実施）について情報発信を行うことで、環境意識の高い消費者の信頼を獲得可能。また、CSR活動として地域社会への貢献のアピールは、企業イメージのさらなる向上を目指せます。

関連記事「アメリカで人気のエコ製品」ではアメリカで流行するサステイナブル製品やアメリカ進出を検討中の日本企業様のビジネスチャンスを紹介しています。

税制と規制の緩和

トランプ政権は企業向けの税制優遇措置を強化する可能性があり、アメリカ現地での事業展開コストが軽減されるますが、州ごとの税制の違いに注意が必要。特に法人税の引き下げや、ビジネス規制の撤廃が期待されますが、それに伴う監視体制の弱体化や競争の激化も予想されます。税制の変化に適応しながら、法規制の変更による影響を最小限に抑えることが求められます。

日本企業様におけるメリット

法人税の引き下げにより、事業展開のコスト削減
新規事業の立ち上げに有利な環境の整備
規制緩和による新市場開拓のチャンス
投資回収期間の短縮
設備投資の促進による生産効率の向上

日本企業様におけるデメリット

競争の激化による市場参入の難易度上昇
州ごとの税制変更に伴うリスク管理の複雑化
短期的な政策変更による長期計画の不透明性

まとめ

この記事では、アメリカ進出を検討中の日本企業様向けにトランプ政権下におけるビジネス環境の変化と対策を紹介しました。

トランプ政権への移行により、アメリカ市場におけるビジネス環境は大きく変化すると予想されます。日本企業様は、アメリカ市場の動向を迅速に把握し、柔軟な戦略立案が重要。特に、関税対策やローカルマーケティングの強化が、アメリカ進出の成功のポイントになるでしょう。

政権交代で各日本企業様も対応に追われていることと思いますが、アメリカ進出を検討している企業様は、アメリカ市場や税制などに詳しい米国現地のデジタルマーケティング会社や広告代理店と連携し、アメリカ市場への適応がおすすめです。

CREAWではアメリカ進出・販路拡大を目指す企業様向けにテストマーケティングやデジタルマーケティング支援を行っています。

広告代理店として、これまで100社以上の企業様のアメリカ進出をサポートしてきました。

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Writer

Maya Lucas

日本でSNSマーケティング、LP作成に従事。2021年にアメリカ移住し、ロサンゼルスの会社でSEO対策、コンテンツマーケティングを行う。2023年に代表の野口と出会い、CREAWのホームページのSEO対策やメルマガなどを担当。元ITコンサルタント兼システムエンジニアでIT・WEB業界で15年以上の経験を持つ。