【代表ブログ】
アメリカ市場開拓に失敗する理由

アメリカ市場開拓に失敗する理由
CREAW Inc.はロサンゼルスに本社、ポートランド、ダラス、日本にも拠点を置く、アメリカ市場への進出・アメリカでの販路拡大をデジタルマーケティングでサポートする日系の広告代理店です。

いつもご閲覧頂き、ありがとうございます。
CREAWの野口です。

 

第4回目の代表ブログは、アメリカ進出や全米市場開拓に失敗する理由をご紹介します。

 

アメリカ進出を検討中の企業様は、どの企業様も例外なく失敗したくないと考えていらっしゃると思います。

今回は弊社のこれまでの経験や過去の事例から失敗する原因・失敗しないためにはどうすればいいのかを詳しく解説します。

 

アメリカ進出や販路拡大を検討中の企業様は必見です!

 

アメリカ進出に失敗する2つの理由

第4回代表ブログ画像(パソコンを見て叫ぶ人)

一般的にアメリカ進出・販路拡大成功の要因は企業様ごとに違い、真似しづらい一方、失敗の要因には共通点が多く、その共通点を避けるだけでも成功確率が少なからず向上する可能性があります。

 

弊社で担当させて頂いた過去の案件や私の過去の経験を踏まえた失敗する理由を紹介し、多くの日本企業様のアメリカ進出・販路拡大の成功率を向上できればと思います。

 

私が考える全米市場開拓に失敗する理由として、以下2つのローカライズができていない事が挙げられると思います。

 

  1. プロダクトのローカライズ
  2. コミュニケーションのローカライズ

 

もともとアメリカで事業を始めた場合や最初から米国向けに新商品を開発する場合などを除いて、多くの日本企業様が日本市場で展開してきた商品やサービスをアメリカ市場へ拡大することを検討されているかと思います。

 

しかし、日本企業様がアメリカ進出・販路拡大をする際に、しばしば直面するのが現地市場とのミスマッチ。日本国内で成功を収めたはずのビジネスモデルや製品が、アメリカ市場では通用しないことが多々起きます。

 

長年日本企業様のアメリカ進出や市場開拓のサポート通して感じる大きな課題が、プロダクトとコミュニケーションのローカライズが不十分なこと。海外市場の開拓を目指す上でローカライズが重要なことくらい分かっていると思う方も多いかと思いますが、ローカライズが必要な理由をプロダクトとコミュニケーションの2つに分けて深堀りし、具体例を通じて日本企業様がアメリカ市場で成功するための戦略を考察します。

ローカライズとは

アメリカの地図

アメリカは世界最大の単一経済圏で、消費者の購買力も非常に高い市場。また、地域や文化で消費者の嗜好やニーズが違います。

 

過去のブログでも触れた通り、アメリカといってもロサンゼルスやサンフランシスコを代表とする西海岸、ニューヨークを代表とする東海岸、シカゴを代表とする中西部、ダラスやヒューストンを代表とする南部など、州や都市ごとに異なる文化やライフスタイルがあり、消費者の購買行動が異なります。

 

日本企業様がアメリカ市場に進出する際、日本国内での成功体験をそのまま持ち込もうとするケースが多いですが、大きな失敗の原因となり得ます。日本の消費者とアメリカの消費者の価値観、生活習慣、購買決定のプロセスの違いを考慮しないと、優れた製品でも市場で受け入れられない可能性も。

 

またロサンゼルスやニューヨークなどの都心部では成功できても、その後全米へ製品を拡大できず、事業拡大が停滞するケースもあります。

 

これらの前提からプロダクトとコミュニケーションのローカライズが重要となりますが、今回はイメージがしやすい日本の代表的な食品の例を基に解説します。

事例①:日本酒

第4回代表ブログ画像(お酒を飲む人)

日本とアメリカの違いやアメリカ国内の都心部と地方都市の違いを攻略するには、まずプロダクトのローカライズが必要。プロダクトのローカライズとは、現地市場のニーズに合わせて商品やサービスを適応させることです。

 

具体的にはビジネスモデル・商品特性・サービス設計・機能・価格などを、ターゲットとなる地域の文化や消費者の好みに合わせた調整が必要です。例えば、日本酒を販売するクライアント様の事例では、日本国内で辛口の日本酒を中心に商品展開してきた実績をもとに、アメリカ市場でも辛口の日本酒を中心に展開したものの、期待する反応を得れない時期が続きました。

 

ターゲットの属性を考慮し、アメリカ市場開拓では爽やかな甘みで口当たりの良いにごり酒をラインナップの中心にし、パッケージも従来の男性的な力強いデザインから女性らしいやわらかなパッケージへ変更・ローカライズをした結果、想像以上の反応を得ました。


辛口のお酒よりも、甘みが強く、クリーミーな舌ざわりのにごり酒が、日本酒慣れしていないアメリカ現地の方々や若年層にとって、受け入れやすい
商品だったと考えられます。

日本で好まれる味が必ずしもアメリカ人に受け入れられるとは限らないため、アメリカ市場向けに味を調整した商品の必要性がお分かり頂けたかと思います。

 

都心部と地方都市で好まれる日本酒の傾向も大きく違い、都心部は日本酒の認知や知識がある程度浸透しており、様々な味わいの地酒や高級価格帯のものも親しまれています。一方、地方都市では日本酒知識が乏しく、日本酒のバラエティが少ないため、大手メーカーが展開する一般的で低価格帯の商品が好まれる傾向にあります。

 

アメリカを一括りで考えるよりも州を別々の国として考えた上でのローカライズが必要です。

事例②:うなぎ

多くの日本企業様がアメリカ現地向けの商品を用意しただけで満足する傾向にありますが、商品のローカライズだけではまだ不十分。商品をどのような伝え方で現地の方々へ届けるかといったコミュニケーションのローカライズが成功の鍵を握るからです。

 

アメリカの消費者に向けたメッセージは、その文化や言語に適応させる必要があります。ただ日本と同じキャッチコピーを英語に翻訳するだけでは現地の方々から共感を得るのは難しく日本的な表現や価値観が強く反映されたメッセージは、現地の消費者には響きません。

 

また、カルピスが英語圏では「Cow piss(日本語に訳すと牛のおしっこ)」という意味に誤解されてしまうリスクを避けるため、名称をカルピコにローカライズして事業展開している事は有名です。

 

コミュニケーションのローカライズがいかに重要か理解頂くために、次にうなぎの事例について紹介します。

ドラゴンロール

うなぎは日本でも海外でも人気の食材で、主に日本では高級食材ですが、アメリカでは主にカリフォルニアロール(アメリカでは一般的な手巻き寿司)の一種・ドラゴンロールとして食されています。今ではドラゴンロールをはじめ、たくさんの種類が展開されているカリフォルニアロール自体も元々はローカライズされた商品の1つです。

 

諸説ありますが、当時アメリカ人が馴染みのない海苔をはがして手巻き寿司を食べたり、生魚を食べる習慣がなかったことなどを踏まえて、アメリカ現地の方々が食べやすいように工夫して出来た形だそうです。

 

そんなドラゴンロールを作る際に一人前をちょうど良く巻き上げるには、通常サイズよりも大きなサイズのうなぎが求められます。そのため、アメリカ現地の方々へのメッセージ内容を「このうなぎはドラゴンロールを巻く事に適した大きなサイズのうなぎです」とすることで、より大きな反響を得ることが出来るわけです。

 

上記のターゲットは、ドラゴンロールを積極的に販売している日本食レストランの決裁権者が想定出来る為、アプローチ先を明確化し、適切なコミュニケーションを図ることも可能となります。

 

「日本産の良質なうなぎです」と手当たり次第にコミュニケーションするのではなく、コアターゲットを明確にして、現地のニーズに合わせたコミュニケーションを行うことで、はじめて本格的な市場開拓が可能です。

ローカライズ方法

第4回代表ブログ画像(マーケットの様子)

次にローカライズの具体的な方法を紹介します。まずは現地の消費者ニーズの徹底的な理解が重要。念入りな全米各地域の市場調査を通じて、コアターゲットとなる消費者のライフスタイル・価値観・購買行動の把握が必要です。

 

現地のマーケティング会社やパートナー企業へ市場調査を丸投げするよりも、一度ご自身でアメリカ現地に行き、自らの目で一次情報を見たり、現地の方へインタビューすることなどを推奨しています。もちろん、弊社でも市場調査の協力は可能ですので、ご要望があればお気軽にご相談ください。

 

市場調査から得た知見を基にローカライズしたプロダクト開発やコミュニケーションを最適化し、アメリカ現地の消費者の共感を得ることが可能になると思います。

アメリカ各州の違いは【代表ブログ】アメリカ進出でおすすめの州で紹介しています。

まとめ

今回は日本企業様がアメリカ市場で成功するために必要不可欠な、プロダクトとコミュニケーションのローカライズを紹介しました。


日本国内での成功体験をそのままアメリカに持ち込むのではなく、現地市場のニーズ・文化への適応が必要。日本産の商品やサービスとしての個性は大切にしたい一方、日本企業様がグローバル市場で競争力を持続するには、アメリカ市場に合わせた柔軟な戦略が必要です。


今回は日本食品を具体例として挙げましたが、どの業界や業種でも重要な考え方ですので、自社に適したローカライズ方法のご相談などご要望があれば、お気軽にお問合せください。


今回取り上げた内容の中で、特にブログで詳細を解説してほしいテーマのリクエストもお待ちしています。

今回もご購読頂きありがとうございました。
それではまた次回も宜しくお願いします。

 

 

CREAW Inc

野口 元気

Founder & CEO Genki Noguchi

Writer

Genki Noguchi

CREAW代表。大学卒業後にヤフー株式会社でインターネット広告の企画営業に従事。在職中にYahoo! JapanとGoogle双方の運用型広告上級者資格を取得。同社を退職後に渡米。 ロサンゼルスでカリフォルニア法人CREAW Incを創業後、事業拡大に伴い、オレゴン州ポートランド、テキサス州ダラスに拠点を広げつつ、 日本法人のCREAW JAPAN合同会社を設立。日米の架け橋となるべく、デジタルマーケティングを展開中。

関連記事

アメリカデジタルマーケティングサポート事例・お客様の声 Blue Suga, Inc様・転送業界 クライアント様紹介 Blue Suga, Inc(DBA: BeHappy!!!) 代表 須賀 裕子(Hiroko Sug […]

アメリカデジタルマーケティングサポート事例・お客様の声 FIVE SMILE USA様・イベント業界 クライアント様紹介 FIVE SMILE USA 代表 大澤 城偉(Kunihide Osawa) 渡米後、ハリウッド […]

アメリカデジタルマーケティングサポート事例・お客様の声 Adentope, Inc.様・イベント業界 クライアント様紹介 Adentope, Inc. (DBA: Japan Product Promotion) 代表 […]

アメリカデジタルマーケティングサポート事例・お客様の声 株式会社原田晶光堂様・伝統工芸品業界 クライアント様紹介 株式会社原田晶光堂代表取締役社長 原田 弘(Hiroshi Harada) 1984年に上京し、アルバイト […]