Ray-Ban Metaはなぜ売れた?
日本企業様が学ぶべきビジネス戦略とは

Ray-Ban Metaはなぜ売れた?日本企業様が学ぶべきビジネス戦略とは

CREAW Inc.はロサンゼルスに本社、ポートランド、ダラスにも拠点を置く、アメリカ市場参入・アメリカでの販路拡大をデジタルマーケティングでサポートする日系の広告代理店です。

いつもご閲覧頂き、ありがとうございます。
CREAWの野口です。

突然ですが、

アメリカ市場で成功する商品と失敗する商品の違い

を見極めることが出来ますでしょうか?

今回取り上げるテーマはスマートグラスについてです。

近年Apple Vision Proが高額ゆえに販売が伸び悩み、Google Glassが市場から姿を消す中、Ray-Ban Metaは累計200万台以上を販売し、2025年も売上が前年同期比3倍というペースで成長を続けています。

私自身、以前から興味があったものの購入を躊躇していましたが、先日クライアント様からすすめられ、実際に購入しました。身近な人からすすめられるまでに普及しているRay-Ban Metaの成功は偶然ではないことが分かります。

本ブログでは、スマートグラス「Ray-Ban Meta」の成功要因を解説し、アメリカ進出を目指す日本企業様が学ぶべきビジネス戦略について紹介したいと思います。

Ray-Ban Metaとは?

Ray-Ban Metaの公式サイト
Ray-Ban Metaの公式サイト

Ray-Ban Metaは、Meta(旧Facebook)とRay-Banが提携し、開発したAI搭載スマートグラス。

一見すると従来のRay-Banサングラスのようですが、フレームにはカメラ・スピーカー・マイクなどを内蔵し、音声で写真や動画の撮影やSNS投稿、音楽再生や通話も可能です。

さらに、「Hey Meta」と呼びかけると翻訳や物体認識など日常生活をサポートするAIアシスタント機能もついています。

【主な特徴】

  • 軽量設計:約49gと軽量で長時間の装着も快適
  • 豊富なデザイン:Wayfarerなど人気フレームをベースにした150種類以上の組み合わせ
  • 手頃な価格:$299(為替レート150円計算で約4万5,000円)と、先進ガジェットとしては手に取りやすい価格設定

2025年10月時点、日本への展開は未定で、現在はアメリカや欧州など16ヶ国のみの展開です。

2025年9月のアップデート

META RAY-BAN DISPLAYの公式サイト
META RAY-BAN DISPLAYの公式サイト

2025年9月17日、Metaはディスプレイ機能を搭載した新モデル「Meta Ray-Ban Display」を発表。この新モデルは9月30日からアメリカの限られた実店舗にて$799で発売され、EMGリストバンド「Meta Neural Band」が付属しています。

このアップデートにより、Ray-Ban MetaシリーズはAR(拡張現実)体験ができる次世代デバイスへと進化しました。

アメリカ市場での売上実績

店頭のRay-Ban Meta
店頭のRay-Ban Meta

【販売台数の推移】

  • 2023年10月発売以降、2025年初頭まで:累計200万台以上を販売
  • 2024年単年:100万台を突破
  • 2025年前半:前年同期比3倍以上の販売ペースを記録

米国や欧州で特に販売が好調で、Ray-Banの親会社エシロール・ルックスオティカの2025年上半期の売上は140.2億ユーロ(約162.5億ドル)に達し、前年同期比7.3%増を記録。Ray-Ban Metaがこの成長を牽引しています。

一方、競合のApple Vision Proは価格が$3,499(為替レート150円計算で約52万5,000円)と高額ゆえに販売が伸び悩み、Google Glassのように市場から姿を消した例もあります。

Ray-Ban Metaは手頃な価格と日常使いしやすい設計で、スマートグラス市場における稀有な成功事例となりました。

Ray-Ban Metaがアメリカ市場で売れた3つの理由

店頭のRay-Ban Meta
店頭のRay-Ban Meta

競合のARグラスやスマートグラスが苦戦する中、Ray-Ban Metaがアメリカ市場で売上を伸ばした3つの理由を考察します。

1. 自然で魅力的なデザインとブランド力の活用

Meta社独自のデザインではなく、既にアメリカの消費者に浸透していたRay-Banの定番デザインの活用が、大きな成功要因。着用しても違和感がなく、スタイリッシュなデザインは、テクノロジー製品に抵抗のある層にも受け入れられました。

2. アメリカの消費者が求める実用性を重視した機能設計

競合他社が重視するディスプレイ投影などの派手なAR演出を省き、撮影・音楽・通話・AIアシスタントなど実用性の高い機能を搭載したことで、軽量化と利便性の両立に成功しました。

3. アメリカ市場を熟知した価格戦略と販売網の構築

全米に展開するRay-Ban実店舗やセレクトショップの販売網を中心に、誰もが気軽に店頭試着が可能な環境を構築し、$299という低価格戦略で市場を広げました。

また、スーパーボウルやタイムズスクエアなどの大型CMプロモーションを実施したことで、一気に一般大衆へと認知が浸透した経緯があります。

アメリカでは実際に体験することで、消費者の購買意欲を向上させることが可能。特に新しいカテゴリーの製品においては、消費者が実際に体験できる環境を整備することが、成功のポイントです。

実際にRay-Ban Metaを使用した感想

実際のRay-Ban Meta
実際のRay-Ban Meta

私が実際にRay-Ban Metaを使用した感想は、「普通のサングラス感覚で使える」自然でスタイリッシュなデザインと快適な装着感が好印象でした。

【優れている点】

  • ハンズフリーの利便性:写真や動画撮影がフレームに付属するボタンをクリックするだけで可能
  • 高音質のオープンイヤースピーカー:周囲の音も聞こえる設計で安全性も確保
  • クリアな通話性能:騒がしい環境でも会話がスムーズ
  • 自然な装着感:テクノロジー製品であることを忘れさせるデザイン

他のユーザーや専門メディアからも高評価で、「スマートグラスの新たな基準を打ち立てた」との評判もあります。

【改善が期待される点】

  • バッテリー持続時間:長時間使用には課題が残る
  • AI機能の発展途上感:今後のアップデートに期待

Ray-Ban Metaは低価格でありながら、全体的に完成度の高い製品だと感じました。

アメリカ進出を目指す日本企業様が学ぶべき
5つの戦略

Ray-Ban Metaの成功事例から、アメリカ進出を目指す日本企業様が学ぶべき5つのビジネス戦略を紹介します。

1. 異業種コラボレーションによる現地ブランド力の活用

MetaとRay-Banがお互いの強みを活かして成功したように、アメリカの現地企業とパートナーシップを組み、ブランド力やネットワークを活用頂くことがおすすめです。

【具体的なアクション】

  • アメリカ市場で既に知名度のあるブランドとの提携を検討
  • 技術力とブランド力の相互補完関係を構築
  • 共同マーケティングによる認知度向上

2. アメリカの消費者視点での機能優先順位付け

AIなどの最先端技術を搭載した方が人気が出ると思われがちですが、アメリカの消費者の日常がいかに便利になるのかを重視し、優先順位を付けて実用性の高い機能だけを搭載することは商品開発のポイントです。

【具体的なアクション】

  • アメリカの消費者調査を通じたニーズの把握
  • 「技術的に可能」ではなく、「消費者が本当に求めている」機能への注力
  • 最小限の機能を持つ製品でのテストマーケティングとフィードバック収集

3. ストーリーテリング型デジタルマーケティング

合理的に商品の最新機能を説明するだけでなく、アメリカの消費者の感情に訴えるストーリーテリング型のマーケティング戦略が重要。Ray-Ban Metaの事例からは、人は理性ではなく、感情で動くことを再認識させられます。

【具体的なアクション】

  • 製品スペックではなく、製品がもたらすライフスタイルの変化を訴求
  • SNSでのインフルエンサーマーケティング活用
  • ユーザー体験を中心としたコンテンツマーケティングを展開

4. アメリカ全土を見据えたマルチチャネル販売網の構築

全米の主要都市で気軽に店頭試着できる点がRay-Ban Metaが売れた要因の一つ。アメリカの消費者とのタッチポイントを増やし、トライアルできる環境の整備は、消費者の意思決定に重要です。

【具体的なアクション】

  • オンライン販売とオフライン体験の融合
  • 主要都市での実店舗展開またはポップアップストアの開設
  • 全米に展開する小売チェーンとのパートナーシップ構築

広大な国土を持つアメリカでは、地域ごとの販売戦略が必要。西海岸、東海岸、中西部など、地域特性を考慮したマルチチャネル展開が成功のポイントです。

5. 市場シェア確保を優先した戦略的価格設定

新製品の開発に投じた初期投資の回収を急ぎたくなるものの、場合によっては、アメリカ市場では短期的な利益より、市場シェア確保を優先する価格戦略の視点も重要。競合他社と比較して、巧みな価格設定もRay-Ban Metaが成功できた秘訣です。

【具体的なアクション】

  • 競合製品との価格比較分析
  • アメリカ消費者の価格感度調査
  • 市場浸透期における戦略的な価格設定の検討

特に新しいカテゴリーの製品では、価格を抑えて市場に素早く浸透させることが長期的な成功につながる場合もあります。

まとめ

まとめ

今回は、スマートグラス「Ray-Ban Meta」のアメリカ市場での成功要因を分析し、日本企業様が学ぶべきビジネス戦略について解説しました。

Ray-Ban Metaの成功要因は以下の通りです。

  • 製品そのものの魅力
  • ブランド力の活用
  • 消費者視点の機能設計
  • 全米に展開する販売網
  • 戦略的な価格設定
  • 感情に訴えるマーケティング施策

さらに、アメリカ市場で成功するには、以下の方程式が重要です。

優れたプロダクト × アメリカ市場に特化したビジネス戦略 = 市場での成功

2025年9月に発表された「Meta Ray-Ban Display」の事例が示すように、成功している企業は常に進化を続けています。アメリカ市場は変化が早く、競争も激しい市場ですが、適切な戦略があれば日本企業様にも大きなチャンスがあります。

弊社では、アメリカ市場における成功事例を踏まえたビジネス戦略のご提案も可能です。アメリカ進出に関するお悩みやご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。

アメリカ進出したいが、日本の製品をそのまま販売して、売れるか不安

どのくらいの価格設定で商品を販売したらいいのか分からない

競合との差別化に苦労し、売れ行きが悪い

そんなお悩みをお持ちでしたら、ぜひ一度無料相談にご参加ください。

CREAWでは無料相談無料見積作成を行っています!

今後もアメリカ市場に関する最新情報や事例をお届け致しますので、ぜひご期待頂けますと幸いです。


毎度ご購読頂きありがとうございます。
引き続き、何卒よろしくお願い申し上げます。

 

CREAW Inc

野口 元気

【出典】

  • https://www.theverge.com/meta/603674/meta-ray-ban-smart-glasses-sales
  • https://www.theverge.com/news/613292/meta-ray-ban-2-million-10-million-capacity-subscription-essilor-luxottica-earnings
  • https://www.uploadvr.com/ray-ban-meta-sales-more-than-tripled-h1-2025/
  • https://www.meta.com/ai-glasses/meta-ray-ban-display/
  • https://www.cnbc.com/2025/07/28/ray-ban-meta-revenue-tripled-essilorluxottica.html
CREAW・CEO野口

Writer

Genki Noguchi

CREAW代表。大学卒業後にヤフー株式会社でインターネット広告の企画営業に従事。在職中にYahoo! JapanとGoogle双方の運用型広告上級者資格を取得。同社を退職後に渡米。 ロサンゼルスでカリフォルニア法人CREAW Incを創業後、事業拡大に伴い、オレゴン州ポートランド、テキサス州ダラスに拠点を開設。アメリカ市場向けのデジタルマーケティング事業を展開し、過去に支援した累計企業数は100社以上にのぼる。

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