安さを売りにするとアメリカ市場で苦戦する理由成功する価格戦略とは CREAW Inc.はロサンゼルスに本社、ポートランド、ダラスにも拠点を置く、アメリカ市場参入・アメリカでの販路拡大をデジタルマーケティングでサポートする […]
なぜアイスを無料で配るのか?
Ben & Jerry'sの
体験型ブランディング戦略とは
CREAW Inc.はロサンゼルスに本社、ポートランド、ダラスにも拠点を置く、アメリカ市場への進出・アメリカでの販路拡大をデジタルマーケティングでサポートする日系の広告代理店です。
いつもご閲覧頂き、ありがとうございます。
CREAWの野口です。
今回は、アメリカの老舗アイスクリームブランド「Ben & Jerry’s(ベン&ジェリーズ)」の無料アイス配布イベントを基に、アメリカ市場で効果的な体験型ブランディング戦略を紹介します。
弊社は、日本企業様のアメリカ進出をデジタルマーケティングで支援しており、デジタルマーケティングの戦略立案に活かすべく、全米50州を巡るプロジェクトに取り組んでいます。
今年の4月に東海岸を訪問し、雪が降る中でも人気だった「無料アイスクリームの日」を偶然体験しました。
一見すると単なる販促イベントのようですが、実際はブランドの世界観や社会的メッセージを体験として伝えることができる戦略的なマーケティング施策。アメリカ進出を検討されている企業担当者様、必見の内容です!
Ben & Jerry's(ベン&ジェリーズ)とは?
Ben & Jerry’s(ベン&ジェリーズ)は、1978年にアメリカ・バーモント州で創業されたプレミアムアイスクリームブランド。創業者のベン・コーエン氏とジェリー・グリーンフィールド氏が、ガソリンスタンドを改装してアイスクリーム屋を始め、今や世界中に展開するグローバルブランドに成長しました。
Ben & Jerry’sの特徴には、高品質な原材料やユニークなフレーバーだけでなく、フェアトレード素材の使用、気候変動・人種問題への積極的な取り組みもあります。アイスクリームを通して、社会課題に取り組む姿勢を表している点が、アメリカ国内外で高く評価されています。
体験型ブランディング「Free Cone Day」
1. ロングテールキーワードの活用
無料でアイスクリームを配布するFree Cone Dayは、1979年から続くBen & Jerry’s(ベン&ジェリーズ)の恒例イベント。今年は4月8日(火)に開催されました。
年に一度、全世界の直営店で来店者に無料でアイスクリームを提供するイベントで、大きな反響を呼んでいます。通常$4前後で販売されている1スクープサイズのアイスが無料で提供されます。SNSフォローやアンケート回答などの必要はなく、来店すればアイスをもらえる仕組みです。
私が訪れた店舗(バーモント州バーリントン)では、雪が降る平日にも関わらず店舗前には長蛇の列ができ、学生、ビジネスマン、ファミリー、旅行者まで幅広い層が並んでいました。
寒空の中でアイスを片手に笑顔で記念撮影する光景には、単なるプロモーション以上の感情的価値があり、これこそがアメリカで重視される「体験を共有する文化」だと感じました。
無料で配っても赤字にならない理由~費用対効果の高さ
「アイスクリームを無料で配って赤字にならないのか?」と疑問を抱かれるかもしれませんが、Ben & Jerry’s(ベン&ジェリーズ)のFree Cone Dayは、費用対効果(ROI)を意識した設計になっています。
以下で、その有効性を数字ベースで解説します。
1. 広告換算額
SNS上に、Free Cone Day関連の大量のUGC(User Generated Content)が投稿されます。米国発のテクノロジー企業・Yextの報告では、1ヶ月間に世界中で600万インプレッションを獲得した(*2)との記載があります。これは一部のチャネルに限定した報告で、実際の総数はもっと多い試算です。
全情報がネット上に存在しないため、参考までに私の方で推定数値を仮定し、以下のような前提で広告価値を換算してみました。
【推定数値による広告費試算】
- SNS上の投稿数:26万件(アイス配布者の2割がSNSへ投稿する想定)
- 1投稿あたりの平均インプレッション数:1,000回(インフルエンサーやメディアも含めて平均1,000インプレッション程度と想定)
- 総インプレッション数:2.6億回(26万件 x 1,000回)
- 広告単価(CPM=1,000回表示あたり):平均$8.15(Gupta調査の2025年におけるMeta広告の平均CPMを引用)
- 広告換算額:$212万(2.6億回 ÷ 1,000 × $8.15)
※為替レート150円換算で約3.2億円相当
つまり、広告費をかけずに3.2億円超のメディア効果を生み出している計算です。
2. 実コストとの比較
次に、無料配布における実際のコストを試算します。
一般的なアイスクリーム屋さんの材料費+人件費の原価率が約50%との情報(*3)を基に、仮に1スクープあたりの原価を定価$4の半分である$2とします。
【推定数値による実コスト試算】
- 合計配布数:130万スクープ
- 1スクープあたりの原価:$2
- 総コスト:$260万(130万 x $2)
※為替レート150円換算で約3.9億円相当
推定される実コストは約3.9億円で、上記で試算した広告費約3.2億円と近い金額。上記は試算で、実際はどこまでSNSの投稿が見込めるか分からない上、コストには設備費用などが含まれていない一方、広告の代わりに、顧客との実体験を生み出す、信頼関係を構築する投資として、十分に見合った費用と言えるでしょう。
3. 再来店による売上
仮に無料アイスを受け取った人の10%が翌月にBen & Jerry’s(ベン&ジェリーズ)に再来店し、$4のアイスを定価で購入したとします。
【推定数値による売上試算】
- 再来店者数:130万 × 10% = 13万人
- 売上換算額:13万人 × $4 = $52万
※為替レート150円換算で約8千万円相当
実際の利益は原価を除いた分となりますが、上記試算は1ヶ月分のリターンで、実際には長期間リピーターになる場合も。顧客LTV(生涯価値)まで考慮すると、無料配布による投資回収は十分可能と考えられます。
また、ベン&ジェリーズは店舗販売だけでなく、Walmart(ウォルマート)などのスーパーのアイスクリームコーナーでも販売されており、小売店での売上向上の可能性もあります。
4. 長期的なブランディング効果
来店者にとって、Ben & Jerry’s(ベン&ジェリーズ)で無料アイスクリームを食べたことは印象的な体験で、ブランドへの感情的結びつき(エンゲージメント)が形成されます。
また、SNS上の拡散で、直接アイスを食べていない層にもブランドイメージが浸透していきます。
例えば、「太っ腹な企業」「社会性があり親しみやすいブランド」としてのポジショニングを確立できる可能性も。
このようなブランディング効果は、短期の販促では得られない資産価値として企業に蓄積されていきます。数値化は難しいものの、ブランドの好感度が中長期的な購買行動に与える影響は大きいでしょう。
アメリカ進出を目指す日本企業様へのヒント
アメリカでは「体験を共有する文化」があり、現地の消費者は、単なる価格や機能よりも、そのブランドがどんな価値観を持ち、どんな体験を提供してくれるかを重視します。これは以前に「アメリカと日本のマーケティングの違い」でも紹介した価値観にも通じます。
例えば、日本企業様が米国現地に出店する場合、イベントでの無料サンプル配布、ローカルパートナーとの連携、SNS拡散を意識したポップアップ出展など、リアル体験とデジタルマーケティングの連動がアメリカ進出成功のポイントです。
関連記事「アメリカで流行中のモクテルとは?日本企業様のビジネスチャンスも紹介」も、ぜひご覧ください。
まとめ
【Ben & Jerry’s(ベン&ジェリーズ)のマーケティング戦略のまとめ】
- Ben & Jerry’s(ベン&ジェリーズ)の「無料アイス」は、単なる販促ではなく体験型ブランディング戦略の象徴
- 高額な広告費を使わずとも、リアルな接点から大規模なSNS拡散と好感度を獲得
- アメリカ市場では「感情に残る体験」が長期的な信頼・売上につながる
上記で紹介したベン&ジェリーズの無料でアイスを配るイベント「Free Cone Day」は、よく計算されたマーケティング戦略です。
以下でBen & Jerry’sの「Free Cone Day」を数字で振り返ります。
- 広告換算額:約3億2千万円相当
- コスト:約3億9千万円相当
- 売上貢献(翌月分のみ):約8千万円相当~
- ブランディング価値:長期資産として蓄積
一般的に「無料配布=損」というイメージがあるかもしれませんが、上記の試算から必ずしも無料配布が損だけで終わらないことが分かります。
むしろ、広告では得られない共感や記憶に残る体験を顧客に提供する「体験型ブランディング」として、高いROIを実現し得る成功事例と言えるでしょう。
特にアメリカでは、企業のマーケティング投資において、「数字で測れること」と「感情に残ること」の両立が今後ますます重要に。Ben & Jerry’s(ベン&ジェリーズ)の事例からは、日本企業様も多くのヒントが得られると思います。
ベン&ジェリーズのように世界規模でのマーケティング施策は難しいかもしれませんが、アメリカの一部地域や店舗に限定した施策の実施がおすすめです。
CREAWは、これまで100社以上の日本企業様のアメリカ進出を、広告代理店としてデジタルマーケティングで支援してきました。
Web広告やSNS運用はもちろん、今回のような現地イベント型の販促や体験設計にも対応可能です。
「アメリカでブランディングを強化したい」
「米国現地との接点を増やしたい」
「アメリカで記憶に残るブランドを作りたい」
そんなご要望をお持ちでしたら、ぜひ一度無料相談にご参加ください。
今後もアメリカ市場に関する最新情報や事例をお届け致しますので、ぜひご期待頂けますと幸いです。
毎度ご購読頂きありがとうございます。
引き続き、何卒よろしくお願い申し上げます。
CREAW Inc
野口 元気
【出典】
*1:https://www.benjerry.com/
*2:https://www.guptamedia.com/social-media-ads-cost
*3:https://www.menubly.com/blog/how-much-do-ice-cream-shops-make/
Writer
Genki Noguchi
CREAW代表。大学卒業後にヤフー株式会社でインターネット広告の企画営業に従事。在職中にYahoo! JapanとGoogle双方の運用型広告上級者資格を取得。同社を退職後に渡米。 ロサンゼルスでカリフォルニア法人CREAW Incを創業後、事業拡大に伴い、オレゴン州ポートランド、テキサス州ダラスに拠点を開設。アメリカ市場向けのデジタルマーケティング事業を展開し、過去に支援した累計企業数は100社以上にのぼる。
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